薪ストーブの炉台・炉壁の作り方|壁から何cm離す?離隔距離と床の重さ
- 薪ストーブの炉台・炉壁を考える前に、まず離隔距離です。燃える壁から横と後ろに100cm、前と上に150cm離すのが条例の基本です。
- 空気層をとった炉壁を立てれば、この距離は縮められます。最終的にはメーカー指定と比べ、大きい方を守ります。
- 炉台は燃えない素材で作ります。レンガや石の炉台は重いので、床の補強が要ることが多くなります。
薪ストーブは壁から何cm離す?離隔距離の基本
離隔距離(りかくきょり)=ストーブと、木の壁や家具など燃えるものとのあいだに空ける距離のことです。市町村の火災予防条例では、薪ストーブの基本値を次のように決めています。
- 横(側方)と後ろ(後方):100cm以上
- 前(前方)と上(上方):150cm以上
たとえば幅50cmのストーブを壁際に置くと、左右と後ろに1mずつ要ります。床の上で幅2.5m、奥行き1.5mほどを占める計算です。今の家では、これを確保できないことがよくあります。
距離が要るのは、木が長い期間熱を受けると、100℃前後でも燃え出すことがあるからです。これを低温着火(ていおんちゃっか)といいます。壁の中の柱が何年もかけて黒く焦げ、ある日発火します。
距離を縮める方法は2つです。1つは、消防庁の決めた試験で確かめた距離を使うこと。もう1つは、壁の下地まで燃えない材料にすることです。機種ごとのメーカー指定と比べて大きい方を守り、所轄の消防署に確認します。
炉壁の作り方は?空気層25mmで距離を縮める
炉壁(ろへき)=ストーブの後ろや横に立てる、燃えない壁のことです。大事なのは厚さより、元の壁とのあいだに空気の層をつくることです。
レンガやタイルを木の壁にじかに貼ると、溜まった熱が少しずつ裏の木に伝わります。空気層があれば熱は伝わりにくく、温まった空気は上へ抜けていきます。
建築基準法の内装の決まりをゆるめる国の告示では、目安が数字で示されています。遮熱板(しゃねつばん)はストーブから27.5cm以上離します。壁とのあいだには2.5cm以上の空気層をとります。
炉壁の高さは、ストーブの天板より上から、室内の煙突の途中までを覆うのが一般的です。幅もストーブの左右に余裕をもたせます。
炉壁を作るときの順番は次のとおりです。
- ケイ酸カルシウム板(=燃えない建材の板)を細く切り、壁に縦に留めて骨組みにする。
- 骨組みの厚みで、25mm以上のすき間をつくる。木の角材は使わない。
- 骨組みの上に、燃えない板を張る。
- レンガやタイルで仕上げる。タイルは接着剤でなくモルタルで貼る。
- 空気層の上と下は、ふさがずに開けておく。
炉台の大きさと素材は?前に何cm張り出す?

炉台(ろだい)=ストーブを載せる、燃えない台のことです。床を熱から守り、扉から落ちる灰や熾火(おきび)を受け止めます。
鶴岡市などの条例は「土間か、金属以外の燃えない材料の床に置く」と決めています。鉄板だけの炉台パネルを使うなら、所轄の消防署に確認しましょう。
大きさはメーカー指定が基本です。英国の建築規則では、扉の前に30cm、横に15cmの張り出しを求めています。灰をかき出す作業を考えると、前は45cmあると安心です。
素材はレンガ・タイル・石が主です。レンガは素朴で熱を溜めますが、厚さ6cmで1㎡あたり約115kgと重めです。タイルは軽く、掃除がしやすいのが利点です。
床の耐荷重は大丈夫?炉台の重さの計算例

建築基準法では、住宅の部屋の床は1㎡あたり約184kgの重さを想定しています。床全体に均等にかかる前提なので、重さが1か所に集まるストーブは超えやすくなります。
本体200kg+炉台約238kg+薪30kg=約468kg。
468kg÷1.32㎡=1㎡あたり約355kg。想定の約1.9倍です。
同じ本体を鉄板の炉台に置いても約198kgで、想定をわずかに超えます。
レンガや石の炉台なら、床下の補強を前提に考えます。1階なら床下の柱(束)を足す工事が一般的です。判断は、床の造りを見られる工務店に任せてください。
炉台・炉壁の費用はいくら?
費用は、素材と広さ、床の補強が要るかで大きく変わります。決まった相場はないので、見積もりで確かめるのが基本です。
一例として、北海道のストーブメーカー新保製作所の施工例があります。床と壁にレンガを施工し、ストーブを壁から50cmの位置に置いたものです。工務店に頼んだ材料費と工事費は約8万円でした。
壁の角の2面に炉壁を立てる、壁一面をレンガにする、といった場合は費用が上がります。床下の補強が要れば、その工事費も加わります。見積もりでは、空気層のとり方と、床の補強の有無を必ず確かめましょう。
設置前のチェックリスト
- 機種のメーカー指定(離隔距離・炉台の寸法・重さ)を手に入れる。
- 条例の基本値と比べ、足りない面に炉壁を計画する。
- 炉台の大きさと素材を決め、総重量から床の補強を判断する。
- 所轄の消防署に確認し、必要なら設置の届出を出す(法律と届出)。
- 煙突のルートと費用もあわせて決める(煙突の基本、導入費用)。
よくある質問
薪ストーブは壁から何cm離せばいいですか?
炉壁にレンガを直接貼れば大丈夫ですか?
炉台は自作できますか?
炉台・炉壁を工務店に頼むといくらかかりますか?
煙突は壁や天井からどれくらい離しますか?
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約6分で読めます出典・参考資料
- 薪ストーブ・ペレットストーブ設置時の注意事項(鶴岡市)
- 議題2 薪ストーブ等に関する規制の概要と課題について(総務省消防庁)
- 対象火気設備等及び対象火気器具等の離隔距離に関する基準(平成14年消防庁告示第1号)解説(札幌市消防局)
- 壁の中から出火(低温着火)(和歌山市消防局)
- 平成21年国土交通省告示第225号(日本暖房機器工業会掲載)
- 薪ストーブの関連法規(アルパイン)
- 建築基準法施行令 第85条(積載荷重)
- 建築基準法施行令 第115条(建築物に設ける煙突)
- Approved Document J: Combustion appliances and fuel storage systems(英国政府)
- 薪ストーブの設置方法PART2(新保製作所)
価格・料金・制度は2026年10月13日時点で編集部が確認した目安です。設置の可否や離隔距離は、必ずメーカーの施工説明書と所轄の消防署で確認してください。