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薪ストーブの出力の目安は?必要なkWを断熱等級と広さから見積もる選び方

薪ストーブ図鑑 編集部2026年10月13日 更新約6分で読めます
大きな高断熱窓のあるリビングに置かれた小型の薪ストーブ
高断熱の家ほど、必要な出力は小さくなります
結論
  • 薪ストーブの出力の目安は「延床面積×1㎡あたりのW数」で見積もれます。今の省エネ基準(断熱等級4)の家なら約55W、等級6なら約30Wです。
  • 延床120㎡・等級4の家なら約6.4kW。カタログの暖房面積どおりに選ぶと、新しい家では大きすぎになりがちです。
  • 定格出力を必要な出力に合わせ、最大出力はその1.2〜1.5倍の機種を選びます。

カタログの暖房面積は当てになる? 何畳の家が前提?

カタログには出力が2種類載っています。最大出力は、薪を多めに入れて空気を全開にしたときの上限です。定格出力は、メーカーが想定するふだんの焚き方での出力で、日常の暖かさに近い値です。

暖房面積は、ほとんどが最大出力から計算されています。この図鑑に載っている277機種の真ん中の値は、最大出力1kWあたり約12㎡でした。床1㎡を約85Wで暖める計算で、1992年ごろの断熱の家に相当します。

実際の家では、最大出力で焚き続けることはまれです。延床約140㎡の家で室温を測った住宅ソフト会社の検証では、焚いている間の発熱は最大出力の約半分と見ると実測に合いました。最大出力だけで選ぶと、多くの家で大きすぎになります。

薪ストーブの出力の目安は? 何kW必要かの見積もり方

建築中の木造住宅の壁に厚い断熱材が入っている様子
必要な出力は、広さより断熱性能で大きく変わります。

必要な出力は、家から逃げる熱と同じ量です。断熱がよい家ほど熱が逃げにくく、小さな出力で足ります。家の断熱性能は断熱等級(=国が決めた1〜7の断熱のランク)で分かります。

  1. 設計図書や住宅会社の資料で、断熱等級を確かめる。
  2. ストーブの熱が届く空間の床面積を出す。扉で仕切らない部屋はすべて含める。
  3. 温暖地(東京・大阪など)は、等級4なら約55W、等級5なら約40W、等級6なら約30Wを掛ける。
  4. 長野や盛岡のような寒冷地は、等級4なら約60W、等級5なら約50Wを掛ける。

たとえば東京の延床120㎡・等級5の家なら、120㎡×約40Wで約4.7kWです。等級4なら約6.4kW、等級6なら約3.8kWになります。断熱材がほとんどない古い家は、1㎡あたり90W以上を見込みます。

この値は、外気0℃の朝に家全体を20℃に保つ出力です。日差しや家電の熱は差し引いていないので、実際はこれより少なくて済みます。下の図は、計算の結果を等級と広さごとにまとめたものです。

温暖地 (5〜7地域・外気0℃) 断熱等級 (UA値) 80㎡ 24坪 100㎡ 30坪 120㎡ 36坪 150㎡ 45坪 180㎡ 54坪 等級3 1.54 7.0 8.7 10.5 13.1 15.7 等級4 0.87 4.2 5.3 6.4 7.9 9.5 等級5 0.60 3.1 3.9 4.7 5.9 7.0 等級6 0.46 2.6 3.2 3.8 4.8 5.8 等級7 0.26 1.7 2.2 2.6 3.3 3.9 単位:kW 寒冷地 (4地域・外気−5℃) 断熱等級 (UA値) 80㎡ 24坪 100㎡ 30坪 120㎡ 36坪 150㎡ 45坪 180㎡ 54坪 等級3 1.25 7.2 9.1 10.9 13.6 16.3 等級4 0.75 4.7 5.9 7.0 8.8 10.5 等級5 0.60 3.9 4.9 5.9 7.3 8.8 等級6 0.34 2.6 3.2 3.9 4.8 5.8 等級7 0.23 2.0 2.5 3.0 3.8 4.5 単位:kW 〜4kW 4〜6kW 6〜9kW 9kW〜 図鑑の最大出力の中央値 9.4kW 室温20℃、外皮面積=延床×2.56、換気0.5回/時・天井高2.4m。日射・内部発熱は差し引かず 選び方の目安:定格出力≒表の値、最大出力=表の値×1.2〜1.5
図:断熱等級×延床面積で見る必要暖房出力の早見表

定格出力と最大出力、どちらで選ぶ?

選び方の目安は次の3つです。この図鑑の編集部が、計算と販売店の考え方から整理しました。

  • 定格出力を、必要な出力に近づける。真冬にいちばん長く使う焚き方で、ちょうど暖まる大きさです。
  • 最大出力は、必要な出力の1.2〜1.5倍にする。冷え切った家を急いで暖めるときの余裕です。
  • 最大出力が必要な出力の2.5倍を超えたら、大きすぎと考える。

定格出力が書かれていない機種も多くあります。この図鑑で両方が分かる83機種では、定格は最大のおよそ75%でした。最大出力に0.75を掛ければ、定格の見当がつきます。

先の例(必要4.7kW)なら、定格4〜5kW、最大6〜7kWの機種が候補です。6kW未満と6〜9kWの一覧から探せます。

薪ストーブが大きすぎ・小さすぎだとどうなる?

強く燃える薪ストーブと、少し開けられた窓
大きすぎる機種は、暑くなって窓を開けることになりがちです。

大きすぎると、暑くなって窓を開けることになります。そこで空気を絞って弱く焚くと、燃え残りの煙が増えます。煤(すす)がガラスや煙突にたまり、煙突掃除の回数も増えます。

小さすぎると、いくら焚いても寒いままです。薪を詰め込みすぎると本体が過熱し、内部の板が反ったり鋳物にひびが入ったりします。

迷ったら、少し小さめを選ぶのが基本です。真冬のいちばん寒い朝だけ少し物足りない、くらいがちょうどよい大きさです。空気の絞り方は空気調整のコツで扱っています。

こんな人に向く:寒さの厳しい山あいの家なら中型〜大型、街中や気密の高い家なら小型が合います。長野県の薪ストーブの手引きも、同じ考え方を示しています。

1台で家全体や2階まで暖まる?

出力が足りていても、熱が届かない部屋は暖まりません。ストーブの熱は、主に暖まった空気の流れと、本体からの放射(=赤外線で直接伝わる熱)で広がります。

長野県の手引きは、暖気が家中を巡るように、家全体の空気の流れを考えて設置場所を決めるよう勧めています。扉で仕切った部屋や、廊下の先の個室には届きにくいです。

見積もりで面積に入れるのは、ストーブとつながった空間だけにします。仕切られた部屋の分まで出力を上げると、ストーブのある部屋だけが暑くなります。届きにくい部屋は、扇風機などで暖気を送るか、別の暖房で補います。

薪ストーブの大きさを選ぶ前のチェックリスト

  • 家の断熱等級と延床面積、吹き抜けの有無を確かめた。
  • 1㎡あたりのW数を掛けて、必要な出力を出した。
  • 候補の定格出力(なければ最大×0.75)が、必要な出力に近い。
  • 販売店に、暖房面積がどんな家を前提にした数字か聞いた。

この図鑑で最大出力が分かる407機種のうち、6kW未満は41機種しかありません。真ん中の値は9.4kWです。断熱等級6以上の家を建てる人は、早めに小型機から候補を探してください。高気密の家の注意点は高気密住宅と薪ストーブ、薪の量の目安は薪の量の目安で解説しています。

よくある質問

薪ストーブは何kWあれば家全体を暖められますか?
延床面積に1㎡あたりのW数を掛けて出します。温暖地の断熱等級4なら約55W、等級6なら約30Wです。延床120㎡・等級4なら約6.4kWが目安になります。
断熱等級が分からない古い家はどう見積もる?
1992年ごろの断熱なら1㎡あたり約85〜90W、断熱材がほとんどない家はそれ以上と見ます。窓を替えた家は少し下げてかまいません。
エアコンと併用するなら小さめでいい?
併用前提なら、目安の6〜8割の定格出力でも成り立ちます。朝の立ち上げや焚かない日をエアコンが受け持つためです。
kcal/hで書かれたカタログはどう比べる?
kcal/hを860で割るとkWになります。7,000kcal/hなら約8.1kWです。1坪は約3.31㎡として㎡にそろえて比べます。
図鑑で、実際のストーブを比べる526機種を見る

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出典・参考資料

  1. 省エネ性能に優れた断熱性の高い住宅の設計ガイド(令和7年3月、環境共生まちづくり協会/国土交通省住宅局 編集協力)
  2. 【参考】住宅における外皮性能(国土交通省 社会資本整備審議会資料)
  3. 省エネ性能に係る基準と計算方法(国土交通省 建築物省エネ法 講習テキスト)
  4. 過去の気象データ 平年値(気象庁)
  5. 暖房面積って何?(ヨツール・ジャパン)
  6. 室温シミュレーションと実測温度の比較 薪ストーブ編(住宅性能診断士ホームズ君)
  7. Stove heat outputs - nominal and maximum(Stoves Online)
  8. 家に合った大きさのストーブを選ぶ(かわはら薪ストーブ本舗)
  9. 薪ストーブは小さいより大きいほうが暖かいですか?(かわはら薪ストーブ本舗)
  10. 薪ストーブの暖房能力はどれくらい?(北欧直販)
  11. 薪ストーブの性能と種類[基礎知識](長野県 薪・ペレットストーブの手引き)

価格・料金・制度は2026年10月13日時点で編集部が確認した目安です。設置の可否や離隔距離は、必ずメーカーの施工説明書と所轄の消防署で確認してください。